伝統とテクノロジーによる新しい世界
グルーブの音を正確に拾い劣化させない
カートリッジ本体に青白磁を採用したのは、中国文化と音響特性の両面から導き出された選択です。中国に伝わる数多くの磁器の中から10種類以上を厳選し、音質テストを重ねて比較・検討した結果、最も音質に優れ、かつ素材の密度がアルミに近い青白磁が最適であると判断しました。
本体にあしらわれた「龍」「鳥」「虎」「亀」は、それぞれ「守護」「幸運」「力」「長寿」を象徴しています。
カートリッジの組み立ては、すべて熟練したエンジニアの手作業によって丁寧に行われています。
カートリッジの性能は、主に以下のような複合的な要素に左右されます。
1. トラッキング時に発生する共振の処理
スタイラスのトラッキング中に発生する共振が十分に減衰・吸収されない場合、その振動はカンチレバーを介してスタイラスに反射し、スタイラス本来の動きを妨げてしまいます。これが音質劣化の大きな原因となります。
この問題に対処するため、ジャスミンでは各カートリッジの性能に応じて価格を設定し、それに見合った防振効果を得られるよう、適切な素材や構造設計を採用しています。
そのため、価格が高いカートリッジほど、本体および構造部品の共振による影響をより効果的に排除できる設計となっており、より高い音質を実現しています。
2. サスペンションの張力と減衰剛性の選択
カンチレバーの素材が異なれば、サスペンションの張力やダンピングガスケットの特性も変わるため、最適な動的応答を得るには個別の調整が不可欠です。これらの要素は、スタイラスの共振周波数を決定する上でも重要な指標となります。
最終的な目標は、適切な針圧を確保しながら、スタイラスがレコード溝の信号を素早くかつ正確にトレースし、20Hz〜20kHzのオーディオ周波数帯域において不要な共振を引き起こさないようにすることです。
3. カンチレバーの長さ選定
カンチレバーの長さは、その構造全体の共振周波数や、スタイラスの応答速度に直接関わる重要な要素です。
4. コイル巻数、コイル材質の選定
これらの要素は、カートリッジの内部抵抗やインダクタンス値、出力レベルにも影響を与えます。
5. 磁石の選定と磁気回路設計
磁石の種類によって発生する磁束は異なります。磁束の強い磁石を使用すれば、コイルの巻数を少なくしても十分な出力を得ることができます。一方で、磁束が弱い場合には、出力を確保するためにコイルの巻数を多くする必要があります。
6. スタイラスチップ構造の選択
スタイラス先端の形状が異なれば、レコード盤の溝との接触面も変化し、それが音の解像度に大きく影響します。チップの形状が高度になるほど、より多くの音溝情報を正確にトレースでき、繊細で情報量豊かなサウンドが得られます。
一般的に、スタイラス形状の性能は、円錐形 < 楕円形 < ラインコンタクト < スーパ―ライン < マイクロリッジの順に向上します。
ジャスミンのカートリッジは、価格・性能・機能のバランスを総合的に考慮し、これまで述べた6つの要素を踏まえて、最適な組み合わせで設計・製造されています。
ソリッドボロンカンチレバーとマイクロリッジダイヤモンドスタイラス
“Dragon” MCカートリッジは、JasmineのB&W磁器カートリッジシリーズにおけるフラッグシップモデルで、極限まで磨き上げられた解像度と音楽表現力を兼ね備えたMCカートリッジです。
マイクロリッジ形状のナチュラルダイヤモンドスタイラスと、高剛性・高応答性を誇るソリッドボロン製カンチレバーの組み合わせにより、音溝のわずかな揺らぎまでも精密にトレース。結果として、微細な音のニュアンスや空気感が立体的に浮かび上がり、音楽が息づいているかのような臨場感を生み出します。
チャンネルセパレーションは30dB以上、チャンネルバランスは0.5dB以下という高精度な設計により、定位が非常に明瞭で、広大なサウンドステージの中に各楽器が的確に配置されます。
出力レベルは0.28mVとやや低めながら、その分SN比に優れ、静寂の中に浮かび上がる音像は澄みきっており、空間の奥行きと透明感を感じさせます。
周波数特性は20Hz〜20kHz ±1dBと非常にフラット。低域は深く沈み込みながらも過度に膨らむことなく、芯のある鳴り方を保ちます。中域は厚みと密度があり、ボーカルや弦の質感が生々しく、高域はシルクのように滑らかで、繊細な倍音がふわりと広がります。
Dragonは、ただ音を正確に再生するだけの道具ではありません。録音に込められた空気、感情、緊張感――そうした音楽の「気配」までも写し取る、まさに芸術再生のためのカートリッジです。
効率的な共振抑制、応答性の良いサスペンション構造
共振の徹底排除とカンチレバー・サスペンション機構の精密な最適化により、スタイラスの感度と追従性を飛躍的に高めています。これにより、極めてクリアで透明感のある音場が広がり、微細なニュアンスまで余すことなく再現。音楽の質感や空気感までも鮮やかに描き出す、真にハイエンド志向のリスナーにふさわしいサウンドパフォーマンスを実現しています。
青白磁のボディ、東洋の音楽性
青と白の磁器は、中国の伝統文化をデザインに取り入れたものであり、視覚的な美しさと音響的な性能を高次元で融合させています。見る者の感性に訴え、聴く者の耳を魅了する、まさにオーディオとビジュアルの理想的な調和を実現しています。
ジャスミンのMCカートリッジ、B&W Porcelainシリーズで同社のハイエンドシリーズだ。今回購入したのはカンチレバーにサファイアを使いスタイラスにシバタ針を使った白虎。このシリーズは四神に因み、青龍、白虎、朱雀、玄武の4モデルがあり、青龍がボロン、白虎がサファイア、朱雀がアルミニウム、玄武がアルミニウムパイプのカンチレバーになっている。ボディは瀬戸物で中に裸の振動系が入っている。非常に整った、引き締まったサウンドだ。Porcelainシリーズは形から推測できるように、相当拘りを持って攻め込んだ設計で、サウンドも凄みを感じる。ジャスミンの製品に共通して言える事は、価格に対する期待度を遥かに超えて来るサウンドに驚かされる。*Bakoon Products 永井氏
タイプ | MC ステレオ |
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ボディ | 青白磁 |
スタイラス | マイクロリッジ、ナチュラルダイヤモンド |
カンチレバー | ソリッドボロン |
高さ | 17mm |
自重 | 15.7g |
内部インピーダンス(DC抵抗) | 6Ω(DC) |
出力レベル | 0.28mv, 1KHz@ 5cm/sec |
周波数特性 | 20-20KHZ +/-1dB |
チャンネルセパレーション | > 30dB@1KHz |
チャンネルバランス | > 0.5dB |
推奨負荷 | >= 60Ω |
推奨針圧 | 1.7 - 2.5g |
最適トラッキングアングル | 20 度 |
コンプライアンス | 16μm/mN |
慣らし期間 | 20 時間 |



