小さなボディに、圧倒的な音楽性
MAOP技術を纏ったAlpair 5の最終進化形
シングルサスペンション+MAOP処理による特別仕様
MAOP5は、Markaudio初となるシングルサスペンション構造のAlpair 5v3に、MAOP(Micro-Arc Oxidation Process)処理を施した専用コーンを搭載したフルレンジユニットです。軽快なレスポンスと優れた分解能を併せ持ち、音楽の持つ繊細なニュアンスを余すことなく再現します。深みのある音色と空間表現の高さに、思わず聴き入ってしまうような魅力があります。
MAOP5誕生の背景
このモデルは、2019年にMarkaudioの開発者であるMark Fenlon氏が、MAOP 11の結晶化処理を行う際にAlpair 5用のコーンを50枚だけ試験的に焼成したことから始まりました。そのコーンを使用して限定23ペアが製作・販売され、公式ブログとホームページのみで告知されたにもかかわらず即完売。その後、多くの再販希望が寄せられ、2020年に追加生産された50ペアもすぐに完売しました。以降はごく限られたタイミングでのみ生産されています。
限定生産と徹底した品質管理
MAOP処理は、コーン表面を結晶化させる特殊工程で、1回の処理に2ヶ月以上を要するため、量産には不向きです。そのためMAOP 5は完全限定生産となっており、組み立ては自社工場の熟練技術者とMark Fenlon氏自身が担当。1台ずつ丁寧に組み上げ、すべてのユニットを無響室で測定し、T/Sパラメーター・周波数特性・インピーダンス特性を確認したうえで、マッチングされたペアとして出荷されます。
MAOP – 強電界酸化結晶化処理
MAOP(Micro-Arc Oxidation Process)は、アルミマグネシウム合金製のコーン表面に施される特別な酸化結晶化処理です。このプロセスでは、700Vの高電圧をかけたアルカリ電解槽の溶液中で長時間にわたり酸化を進行させ、コーン表面に無数の微細な結晶構造を形成します。この処理を施すことで、コーン表面は光沢を抑えた独特の結晶構造へと変化。無数の微細な気泡を含んだ結晶体が形成され、音響特性に大きな影響を与えます。
MAOPは単なるコーティングではなく、コーン自体を変化させる処理です。そのため、コーンの質量増加はわずか0.4%未満に抑えられ、一般的なコーティングと比較して圧倒的に軽量な仕上がりとなります。スポンジのように見える無数の結晶体と微細な空気穴が確認できます。この精密な構造が、メタルの剛性を保ちながら、振動エネルギーを適度に分散・吸収し、まるでパルプ振動板のようなダンピング効果を生み出します。その結果、極めて平坦な周波数特性と、静かで透明感のある音質が実現されます。
直流抵抗(Revc) | 3.4Ω |
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共振周波数(Fo) | 99.31Hz |
振動板面積(Sd) | 28.0cm² |
等価空気容量(Vas) | 1.93リットル |
機械的コンプライアンス(Cms) | 1.73 mm/N |
振動系実質質量(Mmd) | 1.42g(ダンパーなどを除く) |
振動系総質量(Mms) | 1.50g(空気負荷も含む) |
磁気ギャップの力積(BL) | 2.22 T・m |
機械Q(Qms) | 1.89 |
総合Q(Qts) | 0.478 |
出力音圧レベル(SPLo) | 86.63dB(2.83V/1m) |
最大リニア振幅(Xmax) | 片側3.5mm |
所有する価値のあるユニット
各ユニットにはシリアルナンバーが刻印され、測定データが同梱されます。こうした徹底した手間と時間をかけた品質管理により、MAOP 5は単なる限定モデルにとどまらず、長く信頼できる再生機としての価値を備えたユニットに仕上がっています。





