クラシックサウンドを極める小型整流管
ハイエンド真空管アンプのための高品位 80整流管
洗練された電源供給が生む、静けさと表現力
EML 80 は、ヴィンテージ80整流管の音楽性をそのままに、Emission Labs 独自の高真空処理と強化構造によって安定性と透明度を引き上げた、高品位な整流管です。特に 135mA 以下の電流回路において優れた性能を発揮し、極めて低いリップルと安定した電源供給が、アンプの音場描写や静寂感を一段と高めます。シングルエンドアンプやヘッドフォンアンプのように電源品質が音質に直結するシステムでは、その変化がより明瞭に現れます。
自然な立ち上がりと豊かな倍音がもたらす音質
80 整流管に共通する高い内部インピーダンスにより、EML 80 では音の立ち上がりが自然で、滑らかでしなやかな表情が得られます。透明感のある中高域、落ち着きのある音色、静寂の中から浮かび上がる繊細なニュアンスが特徴で、ボーカルや弦楽器、アコースティック音源を自然に再生したい場合に特に適しています。大きな派手さではなく、静かに深く音楽へ没入させる方向性が魅力です。

構造に宿るEMLのクラフトマンシップ
EML の真空管はすべてヨーロッパ工房で手作業により製造されており、その特徴はこの EML 80 にも際立ちます。硬質で耐久性の高いフィラメント構造、伝統的な手吹きガラスによるグローブ型バルブ、大型ゲッターによる高真空維持など、長寿命と安定動作を支える要素が丁寧に盛り込まれています。ベース部には金メッキされたピンと黒セラミックの UX4 ベースが採用され、国内でも多く使用されている山本音響工芸製ソケットへの適合性も確保されています。
動作設計とアンプとの相性
動作電圧は 250V を基本とし、適切な設計のもとでは 275V 運用も可能な余裕を持つ構造が採用されています。高品質なチョークコイルや低ノイズ電源回路と組み合わせることで、背景の静けさがさらに増し、音楽そのものの透明度が一段と引き立ちます。UX4 ベースを用いる一般的な 80 整流管と互換するため、山本音響工芸 A-08S/A-08SS など、多くの真空管アンプへそのまま差し替えることができます。
音楽性と現代技術の融合
EML 80 は、ヴィンテージ整流管の持つしなやかさと、現代的な精度と信頼性を兼ね備えた一本です。音の芯に深みを与えながら、背景の静寂をより黒く、より純度の高い形で描き出し、システム全体の音楽表現を底上げします。クラシックやジャズ、ボーカルといった音楽を丁寧に味わいたい方にとって、長く付き合える優れた選択肢となるでしょう。
フィラメント定格
| フィラメント電圧 | 5 ボルト (AC または DC) |
|---|---|
| フィラメント電圧の許容値 | 5% |
| フィラメント電流 | 2Am |
最大定格
| AC 入力電圧 | 350V |
|---|---|
| 直流出力電流 |
125mA |
| アノードに接続された最初のコンデンサ | 20uF |
メッシュプレートによる音場の開放感
- メッシュプレートの整流管に替えてみてまず感じたのは、音場の“抜け”がとても良くなったことでした。整流管でここまで変わるのかと思うほど、中高域の伸びが自然で、音がスピーカーの外側へスッと広がっていきます。圧迫感がなく、空間全体に音が解き放たれるような、心地よい開放感があります。
- 音色そのものもクリアになり、特に高域の細かなニュアンスがよく見えるようになりました。濁りが減ったことで、シンバルの余韻や弦の微妙な響きがより自然に感じられ、音楽の細部が鮮やかに浮かび上がります。
電源の安定性と低ノイズ性
- 静寂性の向上も大きな変化でした。電源ノイズが極めて少なく、背景が一段と深く静かになるため、音が立ち上がる瞬間の“気持ちよさ”が増しています。アンプのS/N比が良くなったことで、音がより滑らかで見通しのよいものになりました。
- 音にしっかりとした芯が生まれたのも印象的です。安定した電流が供給されているせいか、低域が揺るがず、全体の重心が下がったように感じます。音楽の力強さやダイナミクスが増し、安心感のある鳴り方になりました。









