耳をふさいでいるのに、音は部屋に解き放たれる。
ADAM Audio/HEDD Audio創設者クラウス・ハインツが手がけた、完全開放型ハイエンド・ヘッドホン
プロダクト・コンセプト
ArcTec Berlin AB 92は、ヘッドホンでありながら、ヘッドホンらしさから解放されることを目指した一台です。

「AB」はAirBorne——空気に浮かぶ、という意味を持ちます。その名の通りAB 92は、耳元で音を押し出すのではなく、音が空間に立ち上がり、自然に広がっていくような再生を追求しています。
開発を手がけたのは、ADAM AudioとHEDD Audioを創設したクラウス・ハインツ氏。スタジオモニターの世界で培われた正確な音作りと、音楽を長く深く味わうための豊かな表現力。その両立こそが、AB 92の核となる思想です。
背面を完全に開放したAirBorne構造により、一般的なヘッドホンで感じやすい閉塞感や耳元に張り付くような定位を抑え、まるで良質なスピーカーで聴いているかのような、広く自然な音場を描き出します。2025年5月、欧州最大級のオーディオショー「High End Munich 2025」にて世界初公開された、ArcTec Berlinのフラッグシップモデルです。

ArcTec Berlin(アークテック・ベルリン)は、ドイツ・ベルリンを拠点とするハイエンド・ヘッドホンブランドです。
創設者のクラウス・ハインツ氏は、プロフェッショナル・スタジオモニターの名門ADAM Audio、そして独自のAMTドライバーで知られるHEDD Audioを率いてきた、電気音響変換技術の第一人者です。
ArcTec Berlinが目指すのは、派手な音作りではなく、色付けの少ない自然な再現性。音の輪郭、空気感、響きの消え際までを物理的な裏付けとともに追い込み、長時間聴いても疲れにくい、信頼できるリスニング環境を作り上げます。
AB 92は、設計から組立、測定、出荷までをベルリンの自社で行い、一台ずつ測定されたうえで送り出されます。工業製品でありながら、熟練した音響設計者の思想が明確に宿るヘッドホンです。
- 純度99.99%の銀を用いた振動板:AB 92の振動板には、導体として純度99.99%の銀を採用しています。銀は金属の中でも非常に優れた導電性を持ち、軽さと電気的な効率のバランスに優れた素材です。軽く、正確に、そして素早く反応する振動板が、鮮明でありながら滑らかな音を生み出します。
- 1.5μm未満の超薄膜ダイアフラム:振動板の厚みはわずか1.5μm未満。髪の毛の約50分の1、食品用ラップよりも薄い膜が、信号の微細な変化に俊敏に追従します。これにより、5Hz〜46kHzという広帯域再生を実現し、音の立ち上がりや余韻、空間の気配まで丁寧に描き出します。

- AirBorne完全開放設計:背面を完全に開放し、外側へ湾曲したグリル構造を採用。背面反射による濁りを抑え、ヘッドホン内部に音を閉じ込めません。その結果、耳元で鳴る感覚を超えた、開放的で立体的な音場が広がります。
- 高剛性アルミ筐体:筐体にはアルミニウムを主体とした高剛性ボディを採用。ブラックアノダイズ処理とガラスビーズブラスト仕上げにより、精密機器としての質感と落ち着いた存在感を両立しています。不要な共振を抑え、振動板本来のレスポンスを引き出します。

- 修理しながら長く使える構造:AB 92は、すべての部品が交換可能な設計です。消耗部品を交換しながら長く使い続けることができるため、一時的な製品ではなく、長期にわたって付き合えるオーディオ機器として作られています。
- 540gを感じさせにくい装着性:全方向に動くヨークと、耳に自然に沿う非対称形状のレザーイヤーパッドにより、重量を分散。しっかりとした金属筐体を持ちながら、長時間のリスニングでも快適性を保つよう設計されています。

AB 92の魅力は、単に高解像度であることではありません。音を細かく分解して見せるのではなく、音楽全体の流れ、演奏者の距離感、空間に残る響きまでを自然に描き出すところにあります。

ヴォーカルは誇張されず、楽器の輪郭も過度に強調されません。それでいて、音の立ち上がりは速く、低域から高域までのつながりは滑らか。スタジオモニター的な正確さを持ちながら、分析的になりすぎず、音楽を音楽として楽しませてくれるバランスの良さがあります。
開放型ヘッドホンの中でも特にスピーカー的な広がりを求める方、ヘッドホン特有の圧迫感が苦手な方、そして録音の質やアンプの違いを丁寧に聴き分けたい方におすすめできるモデルです。

STEREO(ドイツ・2026年2月号)
ドイツの権威ある専門誌STEREOがメイン特集として取り上げ、100点満点中92点を付与。「空気感があり、ダイナミックで、トーン的に完璧」と評しました。
Headfonia(2026年4月)
開放感のある広い音場、ニュートラルで自然なトーン、誇張のないヴォーカル再現を高く評価。良質なアンプと組み合わせるほど実力を発揮する一台として紹介されています。読者投票による評価は4.4/5。
LowBeats(ドイツ)
繊細で軽やかなトーンを備えた平面磁界型ヘッドホンとして取り上げられています。
| モデル | AB 92 |
|---|---|
| ドライバ方式 | 平面磁界型(マグネトスタティック) |
| 振動板サイズ(口径) | 92mm |
| 振動膜厚 | 1.5μm未満 |
| 周波数特性 | 5Hz〜46kHz |
| インピーダンス | 33Ω |
| 感度 | 90 dB SPL/mW(105 dB/1V) |
| THD | 1%未満(94 dB SPL時) |
| 筐体素材 | アルミニウム主体(ブラックアノダイズ+ガラスビーズブラスト仕上げ) |
| ケーブル | 1.5m |
| ヘッドホン側コネクタ | 3.5mm × 2 |
| 再生機器側コネクタ | 6.3mm標準プラグ |
| 重量 | 540g |
| 製造 | Made in Germany(設計・組立・測定・出荷) |









