商品情報にスキップ
1 9

山本音響工芸 A-09S 300B
シングルステレオアンプ

商品コード: a09s-1

山本音響工芸 A-09S 300B シングルステレオアンプ

通常価格 ¥861,000 円
通常価格 セール価格 ¥861,000 円
当店特別価格 売り切れ
税込み。 配送料はチェックアウト時に計算されます。
付属出力管
電源電圧
詳細を表示する
受注生産品になります。納期目安は6ヶ月前後になります。

300B無帰還方式アンプのリファレンス機

パワーアンプのリファレンス機としての性能と音質を求めた

Description

300B のリファレンス機。無帰還回路と新設計カットコアトランスによる躍動感あふれる自然なサウンド

A−09S は、現代の真空管アンプのリファレンス管である 300B を出力管に採用した無帰還方式シングルアンプです。基本回路は電圧増幅部に五極管を使用した CR 結合の自己バイアス方式を採用し、負帰還(NFB)を使用しない無帰還方式で基本特性の良さを最大限に生かし、自然な音場と優れた躍動感を実現しています。


高音質を追求した回路とパーツ

1. トランスと電源回路の刷新

  • カットコア型トランス: 安定性に欠けていたトロイダルコア型トランスに代わり、電源、出力、チョークコイル全てのトランス類に新設計のカットコア型トランスを採用。トロイダルコア型より安定し、より躍動感に優れたサウンドが得られます。
  • ショットキー DC 点火回路: 300B の能力を最大限に引き出すため、整流器には大電流対応の米国 IR 社製高性能ショットキーダイオードを採用した両波整流 DC 点火回路を搭載。容量の小さな平滑コンデンサーと組み合わせることで、スピード感に優れたサウンドと回路単純化による音の鮮度向上を図っています。

2. 真空管とドライバ段

  • 高性能初段管 C3m: 初段管に高性能なドイツ製 C3m 管を採用。電気特性に優れ、音質が大変美しいのが特徴です。ロクタル管のメタルケースを取り去り、ガラス管のままで使用することで、さらに自然な響きが得られています。
  • 300B 無調整駆動: 各社のほとんどの 300B が調整なしでそのまま差し換えできるように設計されています。ハムバランスなどの調整も不要で、無調整で最高のサウンドが得られます。

3. 厳選された部品

  • 抵抗・コンデンサー: 抵抗類には音の良い**DALE 社製を採用。主要部分のコンデンサーには歪みの少ないポリプロピレンフィルムコンデンサー**を採用しています。これらを黒檀やベークライトのケースにエポキシ樹脂で充填接着し、強度と音質を向上させています。
  • ソケット: 高性能、高信頼性で評価の高い自社製テフロン製ソケットを全面的に採用。スリット構造により真空管の足を強固にホールドし、外部振動の影響を防ぐ効果があります。
  • 端子: 入力端子にクローム銅採用のオリジナルピンジャック、出力端子に純銅削り出し金メッキの大型端子を採用。極太 (8mm) のスピーカーケーブルにも対応します。

デザインと筐体構造

  • ウッドシャシー: シャシーに桜材の薄い単板を積層しフェノール樹脂を含侵して固めた木質系素材(コムプライト) を採用。強度的にも電気的にも優れています。
  • 美しい仕上げ: トランスカバーには桜材製の側板と、耐久性に優れたアルマイトメッキを施した 2mm 厚のシャンパンゴールドアルミ合金を採用し、斬新で美しいデザインを実現。
  • アフリカ黒檀脚: 脚部には響きの美しく非常に堅いアフリカ黒檀丸棒を採用。シャーシーに直接固定され、全体の重量を的確に支え、制振効果を高めています。
Spec
形式 300Bシングルステレオパワーアンプ 
使用真空管 300B 2本、C3m 2本、5U4G 1本
最大出力 8W+8W
周波数特性 15Hz~22kHz(-3dB)
残留ノイズ 0.6mV
入力ボリューム 100kΩ2連A型ボリューム
入力インピーダンス 200kΩ
サイズ 500(W)294(D)208(H)mm
重量 18.8kg

 

Review

A-09Sは、300Bシングルアンプの王道を、山本音響工芸らしい緻密な設計と素材選択で具現化したモデルとして紹介されてきた。
MJ誌やオーディオ専門媒体の試聴記では、300Bらしい艶やかさを持ちながら、音の輪郭が甘くならない点がまず指摘されている。

中域の密度と自然な音色

最大の魅力は中域の質感にある。ボーカルや弦楽器は厚みがありながら透明で、誇張感のない自然な音色が印象的だ。300B特有の温度感はしっかり感じられるが、過度に甘くならず、音像は明確に結像する。
特に声の再現では、口元の距離感や息遣いが自然に伝わり、「作られた艶」ではないことが強調されている。

低域の制動と全体のバランス

シングルアンプとしては低域の制動が良く、量感に頼らず芯のある低音を聴かせる。
大型スピーカーを無理に鳴らすタイプではないが、能率の良いスピーカーとの組み合わせでは、リズムの立ち上がりが明確で、音楽の流れが淀まない。
低域から高域までのバランスが良く、帯域の一部だけが目立つことはない。

音場表現と聴き疲れの少なさ

音場は奥行き方向の表現に優れ、楽器の前後関係が自然に描かれる。
派手に広がるタイプではないが、静かな背景の中に音像がすっと立ち上がるため、長時間の試聴でも聴き疲れしにくいという評価が共通している。

設計と音への影響

電源トランスや出力トランスに至るまで、素材と構造に徹底した配慮がなされており、これが音の安定感と透明度に直結していると評されている。
いわゆる「300Bアンプらしさ」を前面に出すのではなく、音楽を自然に聴かせる方向にまとめ上げた設計という位置づけだ。

総評

A-09Sは、300Bシングルアンプに期待される美点を押さえつつ、過度な色付けや甘さを排した、非常にバランスの良いアンプである。
ジャズやボーカルはもちろん、室内楽や小編成クラシックでも音楽の構造が崩れず、「300B=雰囲気重視」という先入観を持つリスナーにも納得感の高い一台として紹介されている。