山本音響工芸 新型A-08SS "45" シングルステレオアンプ

型番号A-08SSは、旧型のA-08Sからの大きな進化を遂げたモデルチェンジ版です。旧型の特徴である音質の優位性も、新型A-08SSにおいてさらに向上しています。A-08Sはその出力は小さいながらも、最高級の300Bアンプに匹敵する音質を誇っていました。この優れた特性は、新型A-08SSでも健在です。高能率型スピーカーと組み合わせて、最高の音質を引き出すように設計されています。基本的な回路構成はウエスタンエレクトリックの717Aドライバー管と45真空管の出力段との構成で同じですが、A-08SSの一番の特徴は使用部品を全て見直し、抵抗器、コンデンサーの質を極限まで向上させたことにあります。

A-08SSでは旧型から継承したレギュレーションに優れたカットコアを使用した電源トランス、100μ厚Hi-Bカットコアを使用した出力トランス、チョークコイルにまでカットコアを使用しています。とりわけ出力トランスにはコイルの絶縁紙として誘電率の低いフッ素樹脂素材を使用し、音質向上を計っています。

シャシーには、桜材の薄い単板に絶縁性に優れたフェノール樹脂を染みこませ、高圧で加熱成形した積層強化木という木質系の複合材を採用しています。絶縁性はフェノール樹脂と同等の特性を有し、強度はフェノール樹脂をもしのぐ強靱さを有しています。外観的には木材と同じに見えますが、特性は遙かに優れています。絶縁体でできたシャシーはアンプ内部の渦電流の影響を防ぎ、高強度のシャシーは真空管や部品の共振や鳴きを抑え、高音質化に貢献しています。

真空管ソケットには、絶縁性能に優れたフッ素樹脂素材とリン青銅製のソケットピンを組み合わせた高品質な自社製ソケットを使用しています。

A-08SSの一番の特徴は使用部品を全て見直し、抵抗器、コンデンサーの質を極限まで向上させたことにあります。従来、ケミカルコンデンサーを使用していたアンプの回路部分を、黒檀ケース入りの高品質フィルムコンデンサーに変更しました。この変更により、音質は一層クリアで豊かになりました。

さらに、抵抗器も大幅にアップグレードされています。旧型では巻き線抵抗や金属皮膜抵抗器を使用していましたが、新型では表面実装型の高精度・高音質な薄膜抵抗器に変更しました。全段の主要抵抗器に特性の優れた米国Vishay社製表面実装型薄膜抵抗を採用し、音質を向上させました。通常の真空管アンプに使用される抵抗器の精度は1％～5％ですが、Vishay社の薄膜抵抗器では抵抗誤差0.1%、温度係数5PPM～10PPMと大変優れています。高品質抵抗器によりアンプの低ノイズ化が出来き、聴感による残留ノイズは大幅に減少したA-08SSは高い音質を実現し、より純粋で詳細なサウンドを提供します。

回路全体の基本設計には大きな変更はありませんが、外観では旧型と区別がつくように、メーター部分にスタイリッシュなフランジを取り付けられます。電流値が初期値の60%～70％くらいになれば出力管の交換時期となります。出力管の状態が目で見えてわかり、真空管の寿命を目で確認できます。

入力端子には外部導体にクローム銅の削りだし端子を、内部ピンには隣青銅削り出しの丸ピン端子を採用し、絶縁材としてテフロンを採用した最高級ピンジャックを採用しています。出力端子には純銅削り出し金メッキでテフロン絶縁の大型端子を採用しております。これには太さ8mmという極太のスピーカーケーブルも接続可能としています。スピーカー端子は8Ω出力端子のみですが4Ω, 16Ωのスピーカーを使用して何も問題はありません。ただし、いずれの場合も最大出力は下がります。8Wの最大出力であれば4-6W位の出力になります。

脚部には響きのきれいなことで定評のあるアフリカ黒檀材を削りだして採用しています。このアフリカ黒檀材は実際にオーボエやクラリネットに使用されている素材で響きが美しく、同社のセッティングベースの材料としても高い評価をいただいています。脚部は強度と響きの良さを得るため直接コムプライト製のシャシーに固定され全体の重量を的確に支えています。

A-08SSは、まさに音楽愛好家やオーディオファンにとって理想的な一台です。旧型A-08Sから受け継がれた卓越した音質と、新たに加わった改良点が融合し、極上のリスニング体験を提供します。新型A-08SSで、貴重なビンテージサウンドをぜひ体験してみてください。