昨今人気が復活しつつあるレコードを聴く為には必要になってくる昇圧トランスについてのお話です。
MC昇圧トランスの話の前に、まずは基本的なレコード鑑賞の方法の話です。ターンテーブル(レコードプレーヤー)でレコードを聴く場合、レコード針を使ってレコードディスクの溝に刻まれている音情報を音楽信号に変換して再生していきます。
一般的にプリメインアンプやセパレート型アンプのプリアンプにはレコードを聴くための専用のPHONO(フォノ・イコライザー)入力が付いています。このフォノ入力にレコードプレーヤーからの出力端子を接続して音楽を聴く事になります。
レコードカートリッジ(レコード針)には、レコードの音を電気信号に変えるための発電方式の違いによって、大きく分けて2種類のタイプ『MM(ムービング・マグネット型)』と『MC(ムービング・コイル型)』があります。
レコードが普通に家庭にあった時代には、レコード針は大体MM型でした。出力電圧が高く扱い易いMM型は、フォノ入力のあるアンプにそのまま繋げてレコード鑑賞が楽しめるようになっています。そのためMM型は安価で丈夫な物が多く有ります。
カートリッジの商品ページはこちら
https://www.exclusive-audio.jp/shop/products/list.php?category_id=27
そして、もう一つのタイプのMC(ムービング・コイル型)カートリッジは、MM型カートリッジに比べて構造は複雑で高い精度が求められます。音のレスポンスがよく周波数レンジもワイドで、なんといっても音の良さが魅力です。一般的に「高価で高性能」なMCカートリッジというイメージで、中高級品クラスが主体です。実際オーディオファンの間では圧倒的にMC型カートリッジ使用が多く、商品も多岐にわたります。
そんなMC型ですが、構造上、MM型に比べて出力電圧が低く、MM型の1/10以下の出力しかなく、0.1~0.3mVくらいしかありません。
そのため、そのままアンプのフォノ入力に入れても音量が小さ過ぎて使えません。そのため出力電圧を音質レベルを落とす事なくMM型レベルまで上昇させるために昇圧トランスやヘッドアンプという物が必要になって来ます。
MCカートリッジ専用なので「MCトランス」とか「MCヘッドアンプ」とも呼ばれます。
昇圧トランスの商品ページはこちら
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ヘッドアンプよりも昇圧トランスの方が広く使われています。商品群も豊富で形や大きさなど様々なデザインが出揃っていて価格もピンキリです。トランスの巻線比率によって昇圧比が違い、入力のインピーダンスもHIGH(高)とLOW(低)の2種類に分かれています。仕組みがシンプルなので、コアや巻線の素材の性能差や構造の違いが音に大きく影響しますが、その分、それぞれ個性があり、ダイレクトで力強い再生音が特徴です。
ヘッドアンプの商品ページはこちら
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一方でヘッドアンプというのは、増幅素子(半導体等)で電子的に入力信号を大きくするので、電源供給が必要です。音質的にはフラットでワイドレンジな物が多いようです。
昇圧トランスは電源部を持たない分ノイズに強く安定度も優秀ですが、設置環境によっては外部からの影響でノイズが出ますし、アース線が正しく接続されていない場合にもハム音がするので、注意が必要です。かたやヘッドアンプの方は電流が流れる事による電源まわりのノイズ対策が必要な機種もあるでしょう。
昇圧トランスを選ぶ時は、MCカートリッジには、大別して、LOW(低)インピーダンス型とHIGH(高)インピーダンス型のカートリッジの違いがあるので、そのインピーダンスに出来るだけ合った昇圧トランスを選びましょう。
フォノイコライザーの商品ページはこちら
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プリアンプやプリメインアンプに内蔵されているフォノイコライザー以外にも、単体でのフォノイコライザーアンプがあります。製品によってMM入力だけのものや、昇圧トランスを内蔵したMC対応のモデル、出力が大きい電流出力を使ってMCカートリッジにとっては理想的な増幅をするイコライザーなど多岐にわたりますので、好みに合った組み合わせや機種選びが出来ます。